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「K-PAX 光の旅人」2009-04-19 Sun 17:40
あらすじ 精神科医マーク(ジェフ・ブリッジス)の元に、身元不明の中年男(ケビン・スペイシー)が患者として送られてくる。男はプロートと名乗り、自分は地球から1000光年離れた惑星K-パックスからやってきた異星人だと主張する。 そんな星があるのかどうかさえ知らないマークだったが、友人の学者に尋ねると、どうもその星は実在しており、学会にもまだ発表されていない星だという。学者の興味を惹いたプロートは、彼らを前に、惑星の正確な軌道まで解説してしまう。 一方、病院内でも、その不思議な魅力で患者たちの人気者となるプロート。彼のシンプルな助言により心に良い変化が表れる者まで出てきてしまう。 そんな折、プロートが7月27日にはK-PAX星に帰ると知った患者達は、「ぜひ私も一緒に連れていってくれ」と皆それぞれにプロートに懇願する。プロートはそんな彼らに「連れて行けるのは一人だけだ」と言う。 そんなプルートの言動を見ていたマークは、彼は本当に宇宙人かもしれないと疑念を抱き始める。そして、彼のことを調べているうちに、記録では彼が地球にやって来たのも5年前の7月27日だったことが分かる。マークは、プロートに対し催眠療法を何度か試み、その時のプロートの発言から「その日」に何かが起ったと確信、さらに調べを進める。そして、その日の彼の所在がメキシコにあったことを突き止めると、早速現地へと向かう。そしてそこで衝撃的な事実を知る事になる…。 ![]() 感想のようなもの ケヴィン・スペイシー主演の映画を久しぶりに観ました。 やっぱりこの人は巧いなぁ、と改めて感じました。 ジェフ・ブリッジスも好感の持てる役柄で、この二人のやり取りは観ていて楽しかったです。 作品のイメージとしては、全編通して「光」の柔らかなイメージを効果的に使っている印象を受けました。特にオープニング・シークエンスが私的にはとても好きで、映像といい音楽といい、とても良い出来で、これから起こるドラマへの予感を掻き立てられるものになっています。 話は、「どこからともなく」駅に現れたプロートが「この星は明るすぎる」という妄言?から、身柄を精神病院に移されるところから始まります。 この時点では、SFっぽい要素はあまり取り入れられずに、精神病院を舞台とした人間ドラマの方に重心をおいていくのかなぁと少し不安?にもなりながら観ていました。 ところが意外にも、「プロートは異星人?」という部分も捨てられる事無く、プロートとマーク、また患者達のドラマと共に並行しながら話は進んでいきます。 結果的にはこの「プロートは本当にk-pax星人なのか?」という問いが最後までついて回るようになっており、そこがこの作品をより面白いものにしていると思います。 ![]() 「異星人」であるプロートの発言は当然のごとく、人類からすると奇妙なものばかりなのですが、そんな一見、畸人の妄言にも聞こえる言葉の中にも、ふと考えさせられたり、刺激を受けたりするところもありました。 彼は、K-PAX星では「人と人とのつながり」というものが希薄で、「家族」という概念もない。そして社会を秩序あるものにするためのシステムや法も存在せず、善悪の判断など法で示さなくとも皆分かっている…などといった話をします… そんな世界があり得るのか、いや、あり得ないだろう、と片付けてしまうのは簡単ですが、 「家族」を代表とする人と人とのつながりや、「法」によって治められているこの社会、人類の進歩に欠かすことが出来ない「科学」の力…など、ともすれば当たり前のようにあるものとして受け入れてしまい、疑いの目を向けたりする事もないままにしているモノや価値観に対して、改めて自分の中で考えてみる良い機会をプロートは与えてくれました。 血の繋がりって本当に大切なのか、とか、法やシステムに管理されている社会が本当に成熟したものといえるのか、とか、科学の進歩というものが文明の原動力であると信じきってもいいのだろうか、等々、考え出すと難しいものばかりですが、こういうことに思いを馳せるのって、結論が出ないにしてもなかなかに刺激的ですよね。 ![]() 映画を最後まで観ていると、「プロートが本当にK-PAX星人なのか」どうかということが最重要なテーマではない事はわかるのですが、それでもやはり、どうしても気になります。 本編ではそこの部分をはっきりと結論づけることはせずに、どちらとも受け取れるような終わり方をしています。 私は、K-PAX星人であると受け取ったのですが、どちらに受け取ったとしても、なんだかとても穏やかな気持ちになれるというか、マークと同じように思わず星空を見上げたくなる、そんな気持ちにさせられるエンディングでした。 レンタルするなら… ![]() |
「名探偵再登場」2009-04-06 Mon 00:13
あらすじ 1940年代、第二次世界大戦のさなか。 サンフランシスコの一隅に小さなオフィスをかまえる私立探偵のルー・ペキンポー(ピーター・フォーク)は、儲ってこそいないが、珍事件や難事件に追われ、多忙な毎日を送っていた。 そんな中、彼の相棒が何者かに殺され、その未亡人ジョージア(マーシャ・メイソン)の証言で、なんとペキンポーが容疑者になってしまう。彼は早速真犯人探しにのりだした。 そんな時、マルセル(ジェームズ・ココ)が経営しているカフェで、常連の小男のペペ(ドム・ドルイス)がその美術品を捜し出して欲しいと依頼される。その美術品とは『12個のダイヤモンドの卵』と呼ばれる高価な美術品で、なにやらいわく因縁つきの代物であった。 また、ペキンポーは、マルセルのカフェで、昔、彼が恋した女性マルレーヌ(ルイーズ・フレッチャー)に会い、彼女の夫ポール(フェルナンド・ラマス)の国外逃亡の協力を依頼される。 彼女への思いを断ち切れないペキンポーは、マルレーヌのためにポール逃亡に協力する。 その後も、モンテネグロ夫人(マデリーン・カーン)や大富豪のジャスパー(ジョン・ハウズマン)、その手下、ボーイ(ポール・ウィリアムス)、そして老人の美術収集家エズラ(シド・シーザー)や彼の若妻の美人ジョゼベル(アン=マーグレット)ら怪しい者達がペキンポーの前に現れては彼を翻弄し、陥れようとする。 その間にも刑事たちの追求の手はのびてくるのだが、しかし、ペキンポーは、ついに真犯人をつきとめるのだった。 感想のようなもの 見終わった後、いえ、見ている間中、「う〜ん……」と唸っていました。 前作「名探偵登場」とほぼ同じスタッフで制作し、出演者もピーター・フォークなど前作に出ていた人も数人出ていたにもかかわらず、作品の雰囲気はまるっきり違うものになっていました。 私のように、前作のようなドタバタを期待していた者にとっては、かなり大きな肩透かしを食らった感があります。 本作は前作とは違い、P・フォークを主役に据えて、全編にハンフリー・ボガードもののパロディをちりばめている、といった作りなのですが、元々ボガードが好きでない私にはさっぱり響くものがありませんし、笑えるところもあまりなく、ただただ惰性で最後まで観てしまったという感じでした。 それでも、一つ見所を挙げるとするならば、それはフォークの周りに登場するバラエティに富んだ女優陣でしょうか。皆、それぞれに個性的で美しく、目の保養には十分の充実ぶりだったと思います。そんな綺麗な女性達に引き立てられたからでしょうか。ピーター・フォークがいつもよりも格好よく見えてきたのは不思議でした。 レンタルするなら… ![]() |
「世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す」2009-03-26 Thu 00:01
あらすじ 科学者ラス・マーヴィン(ヒュー・マロー)は、新しい兵器を開発するためのプロジェクト“オペレーション・スカイフック"のリーダーで日々研究開発に情熱を注いでいた。ところが、ここ最近、実験のために打ち上げるロケットがことごとく墜落する始末。原因が分からず、どうしたものかと悩んでいたある日、彼は婚約者でもある秘書のキャロル(ジョーン・テイラー)と共に「空飛ぶ円盤」を目撃する。自分達が見た物が何だったのか、思いをめぐらす二人はキャロルの父ハンレイ将軍にもそのことを伝える。 ![]() そして再びロケット打ち上げの日、カウントダウンが始まった基地内に、突如、「空飛ぶ円盤」が降りたち、軍当局に地球の降伏を求めてきた。彼等の言動を理解できない兵士達は攻撃するも、強力な殺人光線により反撃にあい、基地は壊滅。しかもハンレイ将軍が異性人たちに連れ去られてしまう。 辛くも生き残ったラスとキャロルは急拠ワシントンに向い軍上層部と話し合うが、これといった結論は出ない。ラスは異性人たちとの接触を訴えるが、個人的な行動を慎むよう警告を受ける。それでもなんとかしたいと思うラスはコンタクトをとってきた彼らに会うために、指定された場所へ向かう。付いていく事をラスに拒否されたキャロルもお目付け役のハゲリン少佐と共に後を追う。 異性人はラス達を円盤に乗せて離陸する。彼らはハンレイ将軍の脳の情報を読み取り、地球の情報を細かく採取、分析していた。そして、56日間の期限で地球に降伏を勧告、応じない場合は地球を破壊するという。 ラスたちは再びワシントンに向かい、軍と策を練る。そこでラスは、強力な磁力で円盤の動きを不安定にさせて墜落させることを思いつき、早速、他の科学者の協力を得て装置を完成させる。実験も成功を収め、いざ搬出という時、ラスたちの動きを察知した異性人たちが姿を見せる。ラスは絶好の機会とばかりに新兵器を彼らの円盤に向けた。 感想のようなもの 今回はSFの古典です。 タイトルが示すとおりの、「エイリアン来襲もの」です。 制作年が1956年ですから、 現代の「CGもの」しか観たことのない人は、この作品を見ても失笑してしまうかもしれませんが、 「好きな人」にはたまらなくなるような、当時の最先端の視覚効果技術を観ることが出来ます。 今が50年代と思いながら見ると、そこそこに楽しめます(笑)。 とはいっても、ストーリーについてはほとんど「力技」ともいえそうな粗っぽさで、 この辺はもうちょっとどうにかできないものかとも思いますが、 当時は今ほど「SFもの」が大衆に認知されていないでしょうし、設定・脚本が粗いのも仕方ないのでしょうね。 それとエイリアンの動きが鈍いために、恐怖感が出ない、というのも残念です。 円盤は存在感たっぷりなのですが、エイリアンはいまいちなんですよね。 ![]() それにしてもこのDVDのパッケージ、いかにも50年代といった感じでいいですね。 色使いなどが、恐怖感を煽っていて、なんか本編よりも怖いです(笑)。 本編は当然モノクロ映像なのですが、 視覚効果という点でもこの「モノクロ」がいろいろとごまかせる部分も含めてプラスになっているんだろうなと思います。 たぶんこの作品をそのままカラーにしてしまうと、面白くないような気がします…。 今のCG映画に少し見飽きた方は、 この半世紀前の「微笑ましい」作品を見ながら、視覚効果技術の進歩の速さを感じてみてはいかがでしょうか。 レンタルするなら… ![]() |
「名探偵登場」2009-03-15 Sun 19:03
あらすじ 「あなたを晩餐と殺人に御招待します」という手紙をもらった世界的に有名な5人の名探偵がライオネル・トウェイン(トルーマン・カポーテ)邸にやって来る。 彼らは崩れかかった橋を渡らされ、玄関では頭上から落ちてくる石像に脅かされ、「女の叫び声」の呼鈴に驚かされながらも屋敷まで辿り着き、最後には盲目の執事ベンソンマム(アレック・ギネス)のとんちんかんな出迎えを受ける。とりあえず食堂へと導かれ晩餐を待つ彼らだったが、この日のために雇われた料理女イエッタ(ナンシー・ウォーカー)は唖で聾だったため、ベンソンマムと全く意思の疎通が出来ず、晩餐は何の仕度もされなかった。そんな失態に全員が怒り出すが、その時、突然当主トウェインが現われる。彼は「12時にこの屋敷で殺人が起きる。その犯人もこのテーブルにいる。真犯人を指摘した人に100万ドルと、その出版権と映画化権をさしあげよう」と挑戦して姿を消してしまう。その後、調理室で執事の死体が発見されるが、しばらくするとその死体も消え去り、遂には料理女イエッタがロボットであることもわかる。そんな展開に右往左往しているうちに時計は12時を告げる。その瞬間、ドアが開き入ってきたのは、なんと背中をナイフで刺されたトウェインだった。 ![]() 感想のようなもの 私も中学生の頃に海外の探偵小説の面白さに目覚め、アガサ・クリスティやエラリー・クイーン、ディクスン・カーなどの小説を読み漁った口なのですが、この映画はそんな華々しく活躍してきた名探偵たちに挑戦状を叩きつけ、そして最後には皮肉たっぷりにやりこめる、というものです。もちろん、探偵はそのままの名前ではなくパロディ化されています。私も全員は分かりませんでしたが、一応紹介しておくと、 ピーター・フォーク演じる「 サム・ダイヤモンド」は「マルタの鷹」のサム・スペード デイヴィッド・ニーヴンとマギー・スミスが演じる「ディックとドラ」は「影なき男」のニックとノラのチャールズ夫妻 ピーター・セラーズ演じる「シドニー・ワン」は人気シリーズのチャーリー・チャン ミロ・ペリエ演じる「ジェームズ・ココ」はクリスティ小説ののエルキュール・ポアロ エルザ・ランチェスター演じる「ジェシカ・マーブルズ」もクリスティ小説のミス・マープル といった具合です。 サム・スペード、エルキュール・ポアロ、ミス・マープルは分かりましたけどあとの人は知らなくて後で調べました。 ![]() それぞれの役者がこの作品を楽しんでいるなぁというのが伝わってくるのですが、その中でも一番楽しんでいたのはピーター・セラーズでしょうか…とにかくミョーなキャラでインパクトがありました。 また、ピーター・フォークなどはハンフリー・ボガードの真似をしているのでしょうけど、つい先日もNHK-BSで「刑事コロンボ」を観たばかりというのもあるのでしょうか、どんなに頑張っても私にはやはり「コロンボ」以外の何者でもありませんでしたね(笑)。 探偵小説、とりわけ「密室劇」はプロットが重要ですし、時間を追って出てくる数々の証拠から、名探偵が「犯行」を鮮やかに再構築していくところに醍醐味があり、私も子供ながらにその「スマート」さに魅了されたものですが(特にエラリー・クイーンがお気に入りでした)、彼らに挑戦した富豪のトウェインはそんな「名探偵」を思いっきり茶化し、最後には 「あんたたちの慢心はひどいものだし、読者をばかにしてる。いつも最後の5ページになってから急に証拠を出してきて、読者に推理をさせないままで、真犯人をつきとめるとは何事か」 と痛烈に非難します。 実際、この作品で起きる殺人事件においても、終盤、それぞれの探偵が誇らしげに真犯人の名を明かしていくのですが、まさに「何でもアリ」の結末で、これにはあっけにとられ、笑ってしまいました。この作品の脚本を書いた劇作家の大御所ニール・サイモンは、探偵のみならず、探偵ものに「華麗な推理、理路整然とした結末」を期待している観客までをも見事に裏切って茶化しているんですよね。 ただ、そんな風に自分が「少年時代」に崇めた名探偵達や自分自身がおちょくられているのにもかかわらず、なぜか痛快な気分にさせられます…やられたー、という感じですね。 ![]() とにかくこの映画、コメディとしてもパロディとしても最初から最後まで楽しめる作品なのですが、私が一番ツボにはまったのは、盲目の執事ベンソンマムを演じるアレック・ギネスと、聾唖の料理女イエッタを演じるナンシー・ウォーカーの「ボケ」合戦ともいうべきやり取りですね。ボケ自体はそれこそ「吉本新喜劇」のようなノリにも感じるのですが、これを名優アレック・ギネスがやるというのがスゴいです。 他にも、奇人トルーマン・カポーティ、まだ無名のジェームズ・クロムウェル、今とは違って(当然ですが)艶っぽいマギー・スミスなど役者の顔ぶれもバラエティに富んでいて、とても贅沢で良い物を見せてもらったという感じがします。 レンタルするなら… ![]() |
「グッドナイト&グッドラック」2009-03-07 Sat 18:03
あらすじ アメリカ三大ネットワークの一つ、CBSの人気番組「シー・イット・ナウ」のキャスター、エドワード・R・マロー(デヴィッド・ストラザーン)はプロデューサーのフレッド(ジョージ・クルーニー)たちと、「真実の報道」を目指すべく日々さまざまなプレッシャーと戦っていた。 時は1953年。マッカーシー上院議員による“赤狩り”は全米を恐怖で覆いつくし、その影はテレビ局にも忍び寄っていた。そんな時、マローはある地方の新聞記事を目にする。父親と姉が共産党員だとの嫌疑をかけられた空軍兵士が、除隊処分の危機にあるという。明らかに行き過ぎた行為だと感じたマローは、フレッドにその話をし、二人は番組で取り上げる事を決める。ところが、明らかに反権力的なこの「告発」に、普段はマローたちの姿勢に理解を示し静観していたCBSの会長までもが彼らに釘を刺しに来る事態に。一度動き出せば、凄まじい圧力、攻撃を受ける事は避けられない状況でありながら、マローたちスタッフはひるむことなく番組作りのために動き出す。 ![]() 感想のようなもの 世に言う“マッカーシズム”の時代に、政治家や右派などからの圧力を受けながらも勇気を持って自分たちの信念を貫こうと奮闘するTVマンたちのドラマです。 「赤狩り」のあった時代のことは本で読んで知っている程度ですが… 「思想」というのは持って生まれてくるものではなく、後天的なものではありますが、だからといって全てをコントロールできるものでもないですし、自分自身ではどうしようもない部分というのがあります。そんな自分の思想が少数派であるならまだしも、そんな考えを持っているというだけで「悪」とみなされ社会から排除されるというのは、頭の中で考える以上に恐ろしく異常なことですよね。 そんな少しでも「赤狩り」に批判的な発言をしただけで全てを失ってしまいかねない時代にあって、危険を顧みず立ち向かっていった彼らの「覚悟」には敬服してしまいます。 ![]() それにしても主演のデヴィッド・ストラザーンが良いです。元々、この人の面構えは私の好みなのですが、表情をあまり変えず煙草を静かにくゆらしながら視聴者に訴えかける、その姿が完璧にキマっていて渋いです。先日観た、「黙秘」での飲んだくれの暴力親父とは全く違う男を演じています。この年のアカデミー主演男優賞はぜひとも彼に獲って欲しかったのですが、残念ながら「カポーティ」のフィリップ・シーモア・ホフマンに持っていかれました。 また、久しぶりに「モノクロ」映像の魅力を感じた作品でもあります。モノクロ映像が生み出す光と影がストーリーの緊張感をさらに高めてくれましたし、煙草の煙がまるでマローのパートナーであるかのように存在感を示していたのもモノクロの効果でしょうね。この辺は監督ジョージ・クルーニーのセンスなのでしょうか…煙草を吸わない私でもカッコいいなぁと思いながら観ていました。 ジョージ・クルーニーはTVドラマ「ER」で観て以来、私の中では常に「気になる役者」の一人なのですが、監督としてこういう作品を作ることができるというのはファンにとっても嬉しい驚きで、これからも硬・軟どちらでも活躍できる映画人であって欲しいと思います。 ![]() またこの作品は、単に「50年前の出来事」を映像化しただけではなく、「メディア」と「権力」の関係や、「テレビ」の果す役割など、今考えるべきこととして問題提起をしています。 メディアが流す情報を受ける立場にある私たちは、とかくメディアと権力のあるべき理想の関係を追い求めますが、現実はあまりにも理想から程遠く、理想は幻想になりつつあります。まぁ、この日本では「ジャーナリズム」という言葉を使うことすら恥ずかしいくらいのお粗末なメディアしか存在しないと思いますが。その点、アメリカなどは気概のあるジャーナリストが存在し、またこういう映画やドキュメンタリーなどが作られる分、まだ希望があると私などは思ってしまいます。ただ、そのアメリカでさえも、9・11直後のメディアの「自己規制」に見られるようになかなか進化していないようですけど…。 映画の最初と最後は赤狩りの時代が終息した後の、エド・マローのパーティーでの挨拶のシーンになっているのですが、そこでマローは「テレビは広告代理店や広告主との蜜月の関係を結び、そしてテレビは単なる娯楽と逃避の道具になってしまっている…」と、テレビ関係者を目の前にしながらも、堂々とテレビの現状について痛烈に批判しています。それは、劇中でCBSの会長が「クイズ番組なら視聴者も喜ぶし少ない予算で利益もあがる。報道などそんなに真剣にしなくても…」とマローに一言愚痴るシーンとセットで聞くと、まさに今の日本のテレビ業界の現状を言い表していて、思わず溜飲を下げたのですが、でもやっぱりアメリカではなく日本の中からこのマローの発言のような声が上がって欲しいですよね。 レンタルするなら… ![]() |
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